どのようにミックスして、より良いものをつくるか。
- これまで神田さんとは、たくさんの物件を一緒に取り扱ってきました。仕事の進め方みたいなものは、案件ごとに違いますよね。
- そうですね。例えば地主さんとの付き合いの中で、吉田さんに相続案件が発生した場合、それを彼自身で買うこともあるでしょうし、一般のユーザーさんを相手に商品化することもあると思います。また、私に仕事を振ってくれて、一緒に企画を考えることもありますね。彼が買ったものを、私がビルダーとなってコーディネートするとか。“共同デベロッパー”のようなカタチですね。
- 同じ一戸建てをつくるとしても、マーケットが違えば、買うお客さんも違うし、年代も予算も違います。だからまず検討が必要。「この場所で、年収はこれくらい人が買うとして……」などの設定を行い、「じゃあ、こういうものをつくろう!」となる。ただ、それだけじゃ面白くないから、そこに何を加えればもっと楽しくなるか。神田さんには、そういうアドバイスをよくもらいますね。2人で、様々な角度から話をもんでいきます。
- それが、一緒に仕事をする上での醍醐味ですよね。
- 特に神田さんは、総額1〜2億円くらいの建物をつくるのが得意。私はもう少し低価格の、いわば“一般向け”のものを扱うことが多いんです。ですので、高級感のある素材のセレクトや、そのテイストの良さの活かし方といった部分は、神田さんが持ちあわせているものですね。ただ、それを私が扱っているマーケットにそのまま持ってきてもダメ。どのようにミックスして、よりよいものを作っていくかが大事です。
信頼できるビジネスパートナーとして。
- そうですね。確かに私は普段、主に高価格帯を扱っていますが、高額物件って、結局は“スパイス的なモノが多いだけ”という場合がほとんどなんです。キラっと輝く部分が多いのが高額物件。言わばオプション的なモノですね。キラっと輝くものは、当然、値段も高いわけです。
- 一般の方は、それほどキラキラしたものを求めているわけではなく、どちらかと言うと、使い勝手とか、耐久性に重点を置いています。
- そうなんです。投じたお金に対しての割安感とか、他と比べた時のお値打ち感のあるものを普通は選びます。ただ、それだけだとやはりちょっと退屈。だから、吉田さんからアドバイスを求められた場合は「普通なら壁紙だけど、板を貼ってみよう」とか「一部分だけ、石を貼ってみよう」とか、そういうエッセンスを加えるわけです。やりたいこを全部やってしまうと、家って無尽蔵にお金がかかります。その辺を一緒にディスカッションを重ねて、例えば「このエリアだったら、そんな所にお金をかけてもムダだ」なんて、彼から注意されながら(笑)、やっていきます。僕はやり過ぎちゃうタイプだけど、彼はきちんとセーブできますね。いつも、「価格設定が高すぎる」って、いつも怒られています(笑)
- 価格もそうですが、「そのコンセプト、ありかなぁ……」みたいな、ね(笑)
- そうそう。
- 普段、高額商品を扱っているので、きらびやかな部分に目がいくんだと思います。逆に私は、実用的かどうかを考える。その温度差は、今でも埋まらないです。
- うん。本当に埋まらないね(笑)
- 埋まらない、埋まらない(笑)
- 僕は「そんなの、かっこ良くないよ!」なんて言うんですが、彼もガンコな部分があるので「かっこ良くなくて、いいんだよ!!」って(笑)。だから、今は“年下”だとか、“友人の弟”なんて考えは一切ありません。ただの信頼できるビジネスパートナーですね。彼から学ぶことも多々あります。